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2017年10月25日 更新

太陽光発電O&M業界「6つの問題」(1)~O&M業界に起こるビジネスモデルの横行

O&M業界に起こっている6つの問題をとりあげていくシリーズの第1弾。異業種からの参入があいつぐO&M業界で進むビジネスモデルの横行と、保守管理の技術者が不足している問題についてとりあげていきます。

O&M japan編集部
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太陽光発電O&M業界「6つの問題」(1)~O&M業界に起こるビジネスモデルの横行
本記事は、2017年6月8日に開催された太陽光発電に関するカンファレンス「ソーラーアセットマネジメントアジア(主催:ソーラープラザ)」のセッションの内容をもとに編集・構成しています。
今回の記事ではO&M業界6つの問題のうち「1.ビジネスモデルの横行」と「2.技術者不足」についてご紹介します。
<セッション「日本のO&M市場の概要」/話者:O&Mjapan編集長・清水拓也>

O&Mサービスプロバイダの現状「6つの問題」

ここ数年、太陽光発電業界では、O&Mの重要性が増してくるなかで、ビジネス領域の拡大、他業種からの参入などが多く起こってきました。しかしO&Mは、まだ産業としての歴史が浅く、様々な業界としての基準・標準が確立されていません。大きく分けて6つの問題が起こっています。
O&M業界「6つの問題」

O&M業界「6つの問題」

これらは、O&M業界でさらにサービス・コストの競争が起こってくるなかでも、業界としてビジネスを安定的に成長させていくためにも、しっかりと認識しながら質の向上を目指していかねばならないポイントだと思います。

今回は具体的に「1.ビジネスモデルの横行」と「2.技術者不足」の問題について説明していきます。

様々な業種からの参入が増える中で危ぶまれる「技術品質」

ビジネスモデルの横行と実態

1点目の問題「ビジネスモデルの横行」について見てみましょう。

O&M業界には、今も異業種からも含めて様々な業種の方の参入が相次いでおり、もちろん撤退された企業さんもいらっしゃいますが、ここに来て新規参入が増えているというのは事実です。

こういった参入によって生まれるO&M業界の盛り上がり自体は良いことだと思うのですが、「技術やシステムといったものが確立できていない状態で、業界としての本質的なものが固められないままに、多くの企業参入によりビジネスモデルばかりが先行すること」は必ずしも健全な業界の成長にはつながらないのではないか、と思っています。O&Mの必要性が高まる中、省庁や業界団体はまだルール整備がしきれていません。

一方、民間企業は「ビジネス」としてO&Mの市場に注目し、参入してきています。もちろんビジネスモデル(商売)として考えていくことは重要なことだとは思いますが、やはり「O&Mのサービス内容について、できること・できないこと・その技術的根拠」はそれぞれの企業が事業者として説明できる必要はあるでしょう。
ルール整備がない中、参入者が増えている

ルール整備がない中、参入者が増えている

via Sebastiaan ter Burg via Visualhunt.com / CC BY

不具合の特定にとどまらず、是正対処まで提案すべき

たとえば特殊な計測器を使う検査において、どのようなサービスを実施しているでしょうか。

一番多く見られるものは、計測してデータを出して、お客さんに報告するというサービスです。しかし、大事なのはただ報告することではなく、根拠づけや是正対処の提案です。不具合が特定されたときに、それがなぜ起こっており、どのように対処したらよいかを根拠づけて分析すると、是正するべきポイントが見えてきます。O&Mによる価値は、特に物件を運用しているお客様側の収支が守られた時点で本来ははじめて生まれるはずです。もちろん安全性も確保したうえでの話で、どうやったら不具合を解消して収支を守ることができるかの答えまで出してはじめてサービス提供したといえるのです。

そこの道筋までが見えていないと、お客様側は「お金をあまり使いたくない」「O&Mのコストは削減したい」という発想にしかならず、O&M事業者の側が「安全面のためには定期メンテナンスが必要だ」といってもなかなか理解が進みません。このお客様側とO&M事業者の乖離を防ぐためにも、技術的根拠をもって説明・提案することが、信頼できるビジネスモデルとしても必要になります。

あとは特殊な機材を用いて点検を行う現状のビジネスモデル。特殊機材はO&M会社にとっては重要な作業道具ですが看板ではありません。あくまで調査能力や判断力がメインです。現状のように特殊機材を全面に押し出すビジネスモデルは、例えるなら料理人が料理の腕前や味ではなく包丁を自慢するようなものです。安全性確保から収支確保に繋がるような正しいO&Mが求められなければいけません。

将来にわたり問題になる「技術者不足」

「O&M業界『6つの問題』」の2点目に挙げた技術者不足は、このビジネスモデルづくりにも影響しますし、業界全体でも大きな問題です。

まず太陽光発電の保守管理には二通りの技術者が存在します。
ひとつは保安規定(義務)で定められる主任技術者です。高圧設備が急加速に普及したことにより主任技術者の人材が不足。特別高圧設備に関しては主任技術者が確保できないまま施工が進んでいる物件まで存在し、業界の行く末が不安視されています。主任技術者の適応範囲(管理物件容量)の増大が求められていますが、法的な問題と改善案に対する根拠が必要です。

もうひとつは直流側、つまり太陽光モジュールなどの製品側の点検を行う技術者です。完全な義務ではありませんがとても重要で、先程のビジネスモデルの横行はこちらにあたります。
では「いらないのでは?」と思われるかも知れませんがそうではありません。現状では安全性も担保できていない発電所が少なからず運用を継続しています。なかには事故にまでなっている設備もあります。これらの問題に対して技術者を育成することは必要不可欠です。ただし包丁を自慢する料理人のようにならないことを願いたいところです。
技術者の育成が必要不可欠になっている

技術者の育成が必要不可欠になっている

via ResoluteSupportMedia via Visual hunt / CC BY
住民からの苦情が自治体・国に届くことも増えています。O&Mの重要性がますます高まっている現在、的確な目を持ち判断・対処ができる技術者を増やし、信頼される事業者、そして業界づくりが一層重要になってきているのです。
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