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2017年1月29日 更新

大丈夫? モジュール表面に発生する謎の模様「スネイルトレイル」現象

モジュール表面に、まるでカタツムリが這ったような奇妙な模様が発生する「スネイルトレイル」という現象があります。これによって発電量低下などの問題は起きないのでしょうか? スネイルトレイル発生の原因と対応法を解説します。

O&M japan編集部
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大丈夫? モジュール表面に発生する謎の模様「スネイルトレイル」現象

モジュール表面に現れる謎の模様「スネイルトレイル」

次の写真を見てください。これは設置後一定期間が経過したあるモジュールの表面ですが、ガラス面にうっすらと不思議な模様が見えると思います。この模様は、カタツムリ(スネイル)が這うように歩いた跡(トレイル)のように見えることから、「スネイルトレイル」と呼ばれています。
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このスネイルトレイルは黒色の場合と白色の場合があるのですが、こうした現象が起こる原因は何でしょうか?

スネイルトレイル発生のメカニズム

スネイルトレイル発生のメカニズムは、大きく3つの条件に起因しています。「マイクロクラックの発生」「水分の浸透」「太陽光の照射」です。

一般的に「太陽電池パネル」とも呼ばれるモジュールは、複数の「セル」が配列され形成されています。そのセル表面に何かの原因で見た目ではなかなか気づかない微細なひび「マイクロクラック」が発生することがあります。マイクロクラックができると、寒暖差など環境の変化に伴い伸縮を起こし、セルのガラス表面にズレが発生してしまいます。
モジュール表面のマイクロクラック

モジュール表面のマイクロクラック

そこに雨水や露などの水分などが浸透したときに、水分がフィンガー電極(太陽電池セル表面上の電極)に使われている銀と反応し、銀イオンが内部で拡散します。そこに太陽光が当たったときに、銀イオンと封止材の中に含まれている添加物が化学反応し、酸化銀や硫化銀が発生。それがマイクロクラックに沿って白色や黒色の模様となるのです。

「故障」「不良」ではないが定期的な監視・観察を

マイクロクラックはどのような種類(メーカー)のモジュールにも発生する可能性があることから、スネイルトレイルは環境やモジュールの仕様に関係なく、どのモジュールにも起こり得る可能性があります。また、モジュール設置後の経年数などもあまり関係なく、稼働後に突然起きることもあります。

また経年の中でスネイルトレイルに大きな状態変化が起こったり、大幅な発電量低下をしたりすることはないと言われていますが、現時点ではまだまだ不明です。スネイルトレイルが発生していても、それがスネイルトレイルだと気づかず見過ごされているケースも多いようです。

スネイルトレイルは発電量に大きな影響がないため、「故障」や「不良」とは捉えられておらず、モジュールメーカーの多くが交換対象と認めていませんが、やはり経年の観察が必要です。サーモカメラでの温度チェックなどで定期的に監視・観察していくことをお勧めします。

ちなみにスネイルトレイルは遠隔監視では発見できず、現地での目視確認以外に見つける方法はありません。発生している範囲が広がっているなど気になる状態を発見したら、各種検査機器を使用してしっかりとした点検・測定をすることが安心につながります。

スネイルトレイルの防止策

スネイルトレイルやマイクロクラックの発生原因は複数あり、その中でも製造時・運搬時・施工時が原因のものは未然に防ぐことがかなり困難です。ただいくつかの原因についてはある程度は防ぐことが可能です。

ひとつはバックシートからの水分(湿気)の流入です。こちらは水分の透過を防ぐ為に、バックシートにバリア層を追加したり、材質をガラスに変更したりすることで、ある程度抑制できます。
ふたつめは封止材における化学反応を抑制することです。マイクロクラック内に酸化銀や硫化銀を発生させない為、封止材に含んでいる添加物を選び、化学反応させないことで抑制が可能となります。

このように原因や防止策も様々ですが、コストという壁に阻まれ対策が遅れている製品も市場には多く流通しています。何よりもユーザーや業界関係者等、ひとりでも多くの方がこの現状を理解しなければいけません。
先にも説明したように、スネイルトレイルやマイクロクラックは大半のメーカーの保証対象外ですし、大きな出力低下は見られないと言われています。メーカーによっては不具合では無いとも言われています。しかしながら本当にそうでしょうか?

太陽光発電はまだまだ歴史も浅く短く不明確なことだらけです。この先、スネイルトレイルやマイクロクラックによって、大きな出力低下や事故になる可能性が無いとは言えません。
それらが原因で次の問題に発展する可能性も考えられます。だからこそ定期的な調査は必要で、何よりも「意識する」という心構えが大切になってきます。
複数のひびが生じているケースもある

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