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2018年6月4日 更新

作業者の人件費

2018年6月現在、太陽光発電は特別高圧など大型案件の話をよく耳にする。 住宅案件がメインの頃とくらべ人件費はどうなっているのか?

O&M japan編集部
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作業者の人件費

メンテナンス作業費の相場

メンテナンスを実施するのに特殊機材等を使用するが、どこまで行っても作業そのものは人間がやらなければいけないのが現状である。では、その人件費はいったい幾らなのだろうか?そもそも太陽光発電設備のメンテナンス事業はここ数年で広がりを見せた事業であり適正な事業価格は無いに等しい。しかし現状でO&Mビジネスがここまで普及している以上は何かしらをターゲットにコストを弾き出しているのである。
それは何かと言われると「EPC事業の作業費」である。もっと細かく言えば「設置工事の作業人工(一人あたりの単価)」なのである。
現在、太陽光発電設置工事の作業人工費用はおおよそ2万~3万円くらいが相場で、安いところでは15,000円や18,000円、逆に高いところでは35,000円くらいの単価である。平均的には20,000円~25,000円くらいが多いように思われる。メンテナンス作業に関してもこの単価を基準に算出されていると言っても過言ではないだろう。
しかしながら設置作業ひとつをとっても住宅用と高圧規模では事前資料や段取り等の労務側に付随するものの内容が全く違うように、メンテナンスもそこに関しては同じである。メガソーラーの点検ともなると事前に目を通す資料は膨大で、現地においての確認作業のボリュームも全く違うのである。そんな事情もあり産業用の点検費用は作業人数との掛け算では算出ができない。まずはこの現実をきちんと考えなければ点検と言いながらコストありきとなり中身が伴わなくなる恐れがある。
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低圧案件から始まった低価格化

最近、メンテナンス費用がかなり低価格化している業者が存在する。現状、緊急駆け付けなどは前述の作業単価が概ね相場となるが、中には15,000円以下や、中には5,000円と言う会社まで存在する。もちろん駆け付け時の作業内容や、その後の報告形態が違うと考えられるが、ではなぜそんな価格が現実化しているのだろうか?
様々な業者でヒアリングを行うと、低価格化やパッケージ化が起きているのは50kwシステムであり、つまり低圧案件なのである。答えはいたってシンプルで住宅用だと単価が安すぎてビジネスにならない。高圧や特高だと労務関係の手間や経費が多くなりビジネス的に大変なのである。また責任も大きすぎるのである。そんな中で低圧案件はそこそこ売電収入もあるため管理コストが見込め、O&M会社側もサービスが組みやすいのである。この低圧案件を中心に過剰な低価格化が進んでいる。
ではなぜ低コスト化が可能なのか?そもそもこれら低圧案件は現時点では全体の半数以上となり、つまりパイが大きいのである。しかもこれらの業者は遠隔監視の業務を中心にサービスを構築しており、人による現場作業を限界までスリム化している。
仮に現地での点検があるとしても、サービスそのものを「目視点検」にしているため特殊機材の購入や、特殊機材を所有した業者を抱えなくてよい場合が多い。
低圧用の監視システムでどこまでリスクヘッジできるかは疑問だが、事業者目線で言えばこの低コスト化は魅力なのであろう。またこれらの業者には会社規模の特徴があり、特化している会社には3パターンある。
1. 管理やシステムづくりが得意
2. 全国に拠点があり人の手配が容易
3. 個人事業のため作業単価のみで利益確保が可能
2と3は会社規模としては真逆ではあるが、3なら会社周辺地域のみをターゲットにすれば成立する。また1に関しては、通信系やインフラ整備の会社が多いのが特徴である。1と2に当てはまる会社が、低価格パッケージを構築し、派手にLPを開示すれば発電事業者が響かない訳がない。しかもこの低圧案件は節税目的の個人事業者が大変多く、このモデルがビジネス的にはマッチングしやすいのである。残念なのは発電事業者側がこの価格を相場と捉えて大型案件にまでコストバランスを要求しだしている。
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低コストなものは誰にとっても魅力だが、そのせいで中身が薄くなってしまっては本末転倒である。そもそもメンテナンスは事故が起きないように未然に防ぐものでなければいけない。ただの報告ならメリットは低く安全確保からは確実に遠ざかる。現場で起きている事故内容を確認し、必要な事前対応をメンテナンスに組み込んでほしい。多くの個人事業者はこれらの中身を把握できておらず、価格のみに飛びついているのが現状である。そんな事業者の設備では少なからず事故や不具合は起きている。これらの現場対応は是正にあたり、「点検」と「是正」では作業量が全然違う。是正の方が体力的にもはるかにきつく費用的に高くなって当たり前なのである。この辺も多くの方に認識して欲しい。最後に、メンテナンスでの現場作業は人が行うものである以上、削れるものと削れないものが存在する。どちらも人によるものだが、新たな機材開発などでの作業の効率化が可能となれば人の手間は多少削れる。逆に削れないのは要所で行う人による判断(ジャッジング)である。と言いつつも、いつかこの判断が人でなくても可能となる日が来るのかも知れない。ただその将来のためには、今の未然作業を削ってはいけないのである。
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