-
2017年1月29日 更新

広がる、O&M「遠隔監視システム」市場規模

日々点検に回るのはなかなかできない中、異常時にすぐ対応できるよう、遠隔監視システムが使われています。市場規模が拡大している背景には、新規導入費用だけではなく中長期的に必要なランニング費用が増加していることがうかがえます。

O&M japan編集部
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
広がる、O&M「遠隔監視システム」市場規模

遠隔監視システムの市場規模は1,600億円に

O&Mの重要なサービスのひとつに、太陽光発電設備の「遠隔監視システム」があります。
近年、太陽光モジュールの不具合や事故などのトラブル増加にともない、この遠隔監視システムへの期待・ニーズが高まっているのです。

遠隔監視システムの市場規模は今後大きく広がり、2020年度で約1,600億円になると予測されています(株式会社シード・プランニング調べ)。これは遠隔監視システム全体の2014年度の市場規模「695億円」と比較すると約2.3倍の伸び率です。

そもそも、太陽光発電における遠隔監視システムとはどのようなものか?を、簡単に説明しておきましょう。
 (136)

遠隔監視システムとは?

太陽光発電における遠隔監視は、次のような流れで行われます。

・発電所に設置されたモジュールの発電量などのデータが、データ収集装置に送られる。
・収集されたデータがクラウドサーバーに送られる。
・各種データが、大型モニターやPC、タブレット端末などを通して発電事業者に送られる。
遠隔監視システムの仕組み

遠隔監視システムの仕組み

この遠隔監視システムにより、リアルタイムで発電状況を監視。発電量が低下していないか、モジュールに不具合が発生していないか、PCS(パワーコンディショナー)が正常に稼動しているか、などをチェックできるほか、緊急時にはアラートメールで発電事業者に知らせるサービスも提供されています。

全体の70%強を占める「PCS監視システム」

遠隔監視システムは「ストリング監視」「接続箱・集電箱監視」「PCS監視」の3つに分けられます。ちなみに「ストリング」とは、複数のモジュール(PVパネル)を直列に接続して、まとまった電力を得られるように構成した単位で、通常は10数枚から20数枚のモジュールで構成されています。

現在、遠隔監視システム導入数全体の70%強を占めるのはPCS監視システムですが、今後もこの比率は大きく変わらないと予測されます。PCSは太陽光発電設備の中で一番故障リスクの高い部分だからです。

遠隔監視システム導入の問題は、売電収益にも密接に関係しています。
FIT制度開始以降、電気の買取価格は年々下がってきています。そうすると、PV事業者は高いIRRを確保する為に、原価コストを下げざるをえないのです。事業性を考えると正しい決断だと思われがちですが、遠隔監視システムの機能が簡素化されれば当然不具合を見落とす確率は上がります。その結果、PCS監視機能だけでは見えない不具合を見落とし、新たな収益損失が発生する可能性も実はあるのです。

ここでひとつ収益の損失事例を紹介致します。

設備容量は約1MW(パネル4,200枚)、接続箱設置は14台、PCSは1MW容量1台のみのPVシステム。1台の接続箱端子台で焼損事故が発生し、接続箱全損。総発電は1/14の損失が起こりました。

しかしながら遠隔監視システムがPCS単位での計測であったため、管理者は1/14の変化に気づきませんでした。エラーメールで気づく場合もありますが、この監視装置ではエラーメールも発報されませんでした。簡素化された監視機器はエラーコードも少なく、エラー制度も大まかだったのかも知れません。結果、短期間で数十万円の収益損失となってしまいました。
遠隔監視システムの活用法を理解しておく

遠隔監視システムの活用法を理解しておく

遠隔監視システム市場は「ランニング費用」の割合が増加

次に、遠隔監視システム市場を、①システム導入費用 ②ランニング費用 の2つに分けて見てみましょう。前掲の市場調査とコンサルティングのシード・プランニング発表のグラフ「太陽光発電設備遠隔監視システム市場(システム導入費用 vs ランニング費用)」を見ると、2014年度時点で、市場全体(695億円)のうち、システム導入費用は618.9億円と全体の89%を占め、ランニング費用は76.3億円と、全体の11%に過ぎませんでした。
 (137)

ところが、今後の予測数値を見てみると、システム導入費用は2018年度をピークに徐々に下がっていき、逆にランニング費用の割合が増加。2020年には遠隔監視システム市場全体1,600億円のうち、ランニング費用は全体の約40%を占める625.6億円(2014年比8.2倍)へと成長する見込みとなっています。

O&Mビジネスの市場成立はまだまだこれから?

こうしたデータ一つを見ても、O&Mのビジネスとしての将来的な可能性やニーズ、市場は確実に存在すると言えます。では今現在、O&Mがビジネスとしてきちんと成立・確立しているのか、というと、正直「まだまだこれから」と言わざるをえません。

実際にO&M事業者の方々からの声をヒアリングすると、「事業収支がシビアで、なかなか利益がとれない」、自分の会社だけで多岐にわたるO&Mサービスを抱え込んでサービス提供することが困難である、すなわち「単独での事業成立が難しい」という」声を多く聞きます。

こうしたO&M事業者の皆さんの悩みや課題を解決するため、「O&M事業の協業体制の構築」など、業界全体で連携・協力しながら、O&M事業を太陽光発電分野の一大ビジネスとして確立させていく。今そうした取り組みが太陽光発電業界全体に求められているのです。
18 件

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

O&M japan編集部

関連する記事 こんな記事も人気です

O&M japan