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2017年2月21日 更新

最新公開の「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」の概要とポイント

2016年12月末に新たに制定・公表された『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』。当ガイドラインの概要とポイントについて解説します。

O&M japan編集部
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最新公開の「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」の概要とポイント

IECの基準・規格を取り入れて再編集されたもの<概要>

今回新たに制定・公表された『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』は、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)と一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)により共同作成された、太陽光発電システムの保守点検に関する技術資料です。

民間によってこれまでに公表された太陽光発電に関する保守点検ガイドラインは、JEMAによる「小出力太陽光発電システムの保守・点検ガイドライン」、JPEAによる「太陽光発電システム保守点検ガイドライン(10kW以上の一般用電気工作物)」「太陽光発電システム保守点検ガイドライン(住宅用)」。
今回新たに作られたガイドラインは、この3つの資料を参考にしながら、IEC(国際電気標準会議)の基準・規格を参照しつつ再編集されたものです。

IEC規格に準拠しているとはいえ、国内独自の電気設備事情に合わせた技術基準になっており、加えて太陽電池モジュールの洗浄方法や植生の管理についてなど、発電性能を最大限にするための保守についても様々なガイドラインを記載。屋根設置、地上設置それぞれ特有の配慮点についてもまとめられています。
今回、当ガイドラインが対象としているのは、「直流1500V以下の太陽光発電システム」(太陽電池アレイ、接続箱・集電箱、パワーコンディショナおよびこれらを構成するケーブルなど)で、上記範囲の系統連系太陽光発電システムの基本的な予防、是正、発電性能に係わる保守要件と推奨案等が記載されています。

主な内容は以下のとおりです。

・信頼性、安全性および耐火性に係わるシステム機器や接続部の基本的保守
・不具合対応手順およびトラブルシューティングのための手段
・作業者の安全

専門性が高く有益だが、現場における実用性は低い?<特徴>

当ガイドラインの特徴は、従来の基本的な保守点検に関する内容(植生管理、各種機器の清掃方法など)が再整理されていることに加え、新たに電気系統の検査やモジュール製造過程での検査項目など、非常に専門的な技術関連の情報、特に電気関連の専門的情報が大幅に書き加えられていることです。

たとえば「ヒューズ試験」についての項目には、「ヒューズが回路に通電しているときは,決して交換又は試験を実施してはならない。ヒューズの試験を行う前に,太陽電池アレイ又は太陽電池サブアレイを分離する」といった文言とともに、ヒューズ試験の手順が細かく記載されています。また、「バイパスダイオード試験」「オープン故障ダイオード試験」「ショート故障ダイオード試験」についてなど、ダイオードに関連する各種情報の記載もされています。
試験手順が細かく記載されている

試験手順が細かく記載されている

このように非常に専門性の高い内容で構成されている点は、現在の、そして今後のO&M事業にとって有益なドキュメントとなることは間違いないでしょう。しかし、このガイドラインが本当に現場の作業にとって実用的な内容になっているのか、本当に必要な情報がきちんと網羅されているのか、については賛否両論かと思います。

今回のガイドラインには、太陽光発電システムの製品自体について、製品の検査基準について、電気工事における検査基準について、そして設置後の検査基準について、市場に出ている太陽光発電関連設備全体の管理についてなど、ありとあらゆる項目が全網羅的に取り上げられています。

したがって、現場作業者がこのガイドラインをそのまま渡されて、「はい、これを読んで作業してください」と言われても、すぐに内容を理解してこれをもとに保守点検作業ができるかというと、少なからず疑問が残るからです。
場合によっては、今後、当ガイドラインを読み解くための解説書などが必要となってくるかもしれません。

万が一の事故・トラブルに備えて主要ポイントの理解を

今回のドキュメントは、あくまでも保守点検の「ガイドライン」(大まかな指針・指導目標)であり、そのまますぐに現場の保守点検作業に役立つ、いわゆる「保守点検マニュアル」ではありません。また内容的に見ても、O&M事業者にとって役立つというよりも、EPC(設計、施工、販売事業者)、電力事業者、PPS事業者などが知っておくべき、技術面の専門的な規格についての記述を中心とした内容になっています。

IECの国際基準の中にモジュールの製造の段階で汚れに対する防汚テストの基準などが記載されています。今回のガイドラインにも、そうした基準に準拠する形で、それらをクリアしないといけません、と書いてあります。したがってこうしたIECの基準や、今までのガイドラインの基を知っている人が読み取ると意味のある資料にはなりますが、基の部分を知らない人(ここからのスタートする人)が読むと、内容がよく理解できない可能性があります。

今後は、この指標を基に各O&M事業者や各民間企業が協力しあって、どういう点検をどのように行ったらいいのか、という、現場の作業者にとって実用的な「点検表」「点検マニュアル」のようなものを作る必要があるでしょう。
点検表やマニュアルにより実用化する

点検表やマニュアルにより実用化する

前述のように、今回のドキュメントはあくまでも「ガイドライン」です。法的な執行力はありませんが、もし事故やトラブルが起きて第3者に甚大な被害が発生した場合や法的な訴追対象になった場合。このガイドラインの主要ポイントをきちんと読んで保守点検・管理をしてなければ何かしらの処罰対象、たとえば運用停止・取り消しになる可能性はあります。

今後、もっと現場よりの分かりやすいガイドライン、またはマニュアルが作成されるかもしれませんが、当面は当マニュアルに準拠して作業を行う必要があります。今後はこのマニュアルを1人でも多くの人が理解できるためのセミナーやメディアでの発信など、といった努力が必要になっていくでしょう。
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