-
2017年2月9日 更新

【太陽光発電O&Mノウハウ】作業中、パネルに乗るのはありなのか?

屋根の上に設置されたモジュールの施工やメンテナンスを行うとき、やむを得ず作業員がパネルの表面に乗って作業を行うケースがあるのですが……。果たしてパネルへの影響はないのだろうか? モジュールの強度と設置方法の問題について考えます。

O&M japan編集部
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【太陽光発電O&Mノウハウ】作業中、パネルに乗るのはありなのか?

原則として、パネルの上には乗ってはいけない?

家屋の屋根へのモジュール設置作業時や、設置されたモジュール(ソーラーパネル)のメンテナンス作業を行う時、やむを得ず作業員がパネルの上に足をかけたり乗ったりしなければならない場合があります。モジュールの面積が広い場合や、周囲に足をかける場所がない時は、多少なりともパネルの上に乗らざるを得ないのです。

ですが、太陽光設備の施工業者やO&M業者は、どうしてもやむを得ない理由がない限り、基本的にパネルの上に乗ったり歩いてはいけません。なぜなら、ソーラーパネルを製造するメーカーの多くは、パネルの上に大きな重量がかかることを想定しておらず、そこまでの強度を求めて設計・製造していないからです。
したがって、乗る人の体重や製品の強度にもよりますが、多くの場合パネルの上に人が乗るとセルにマイクロクラックが入ってしまったり、最悪の場合はコネクタラインとのハンダ部がはずれてしまうことがあるかも知れません。これは実験によっても明らかとなっていますし、実際に多少のトラブルの発生も報告されています。
メンテナンス作業でパネルに乗ることがある

メンテナンス作業でパネルに乗ることがある

実際にソーラーパネルの上に人が乗ると、メーカーや製品の種類によって異なりますが、たいていミシミシという音が発生します。その場でセルが割れることがなかったとしても、特別な検査機器を使って調べてみると、目に見えないマイクロクラックが発生していたり、パネル内部が破損していたりすることがあります。
ですから、たとえ重要な点検、メンテナンスと言えども、「出来る限りパネルの上に人が乗るべきではない」のです。これはO&Mの作業における大原則と考えてよいでしょう。

パネルの強度はメーカーによって異なる

ソーラーパネルの強度はメーカーや製品によって異なります。ガラスの厚みやフレームの強度がメーカーごとに違うのです。
ソーラーパネルには様々な種類がありますが、大きく「シリコン系」「化合物系」「有機物系」の3種類に分けられます。現在、住宅用ソーラーパネルに多く使われているのは、シリコン系の「結晶シリコンソーラーパネル」と「薄膜シリコンソーラーパネル」ですが、この「結晶系」と「薄膜系」は構造が違うだけでなく強度にも差があるので、パネル選びの際には気をつけましょう。

強い「薄膜系」パネル、弱い「結晶系」パネル

パネル素材による違いがある

薄膜系のパネルは材質上もともと湿気など水分に弱いため、パネル内部に湿気が入りにくいように二重ガラスにして強化フレームを用いていたりしています。したがって結晶系に比べると強く、パネルの上に人が乗ってもある程度は大丈夫な作りになっています。
もちろん人が乗る為に丈夫にしている訳ではないのですが…。
一方で「結晶系」のパネルは「薄膜系」に比べると強度において弱く、人が乗ると破損する可能性が高いです。これらは薄膜系パネルのような強度を必要せず、軽量化に視点をおいているからです。もちろん結晶系パネルでも製品によってガラスやフレームの厚みなどが違います。

パネル強度の違いにも注意

また、パネルのなかには、パネルの真ん中を手で押しただけで簡単にたわんでしまう位弱いものもあります。こうしたパネルは、徹底的に軽量化を図り屋根に負担を与えないようにするために、メーカーが技術開発の中でガラスもセルもバックシートも極限まで薄くしているのです。こうしたパネルの場合、当然ながらまず人が乗ることさえできません。乗った瞬間に簡単にへこんでしまうのです。

このようにメーカーや製品によってパネルの強度は様々です。パネルを選ぶ時にはその強度にも注意して選び、設置する時は、パネルの上に乗らなくてもメンテナンス作業が可能な状態になっているかどうか、という点まで確認しておくことが重要と言えます。

パネルに乗らずに作業する方法もある

足場や高所作業車の利用

では、実際に施工やメンテナンス作業を行う時、極力パネルに乗らずに作業するにはどういう方法があるのでしょうか?
ここでは住宅用を事例とします。
まず施工時ですが、この場合には大きく2つの方法があります。

施工時には、家の周囲に「足場」を組んで作業する、という方法がありますが、施工用に足場を組む費用は非常に高いため、多くのオーナー(発電事業者)や販売店はできるだけ足場を組まずに済む方法を考えます。したがってこの方法はあまり多くの現場で行われていないのが実情です。
また場合によっては、電柱・電線のメンテナンスなどに使われている「高所作業車」を使う場合もあります。屋根の角度が40度~45度くらいになると、そもそも人が屋根の上に上って作業するのは危険ですし、作業自体も非常にやりにくくなります。そういう場合は高所作業車使ったり足場を組んで作業します。

専用作業台も発売されている

では、メンテナンス時にはどうするのでしょうか。
メンテナンスのために高所作業者を使ったり足場を組んだり、という大がかりなことは費用的な問題もあり、あまり行われていません。メンテナンス時に、やむを得ずパネルに乗る場合は、パネルとパネルの間にあるフレームの上を歩き、決してガラス面を踏まないようにすることが重要です。しかし、これでも場合によってはフレームを変形させてしまう恐れがあるので十分注意が必要です。

ちなみに最近では、パネルの点検や洗浄・コーティング作業時にパネルの上に乗らなくても作業ができる「O&M専用の作業台」が発売されていますので、O&M業者の方はそうした道具を使って作業するのもお勧めです。
専用作業台を使った作業

専用作業台を使った作業

そもそもパネル設置方法にも問題あり

最近、「屋根一体型パネル」すなわち屋根自体が最初からソーラーパネルになっていて、1歩も歩くスペースがない、といった形のものも増えてきています。こういうタイプのパネルをメンテナンスする場合には、もはや高所作業車を使うか足場を組むしか方法はありません。
また最近では、できるだけ大きなパネルを取り付けたい、という発想なのでしょう、今流行の「片流れ屋根」(傾斜をとった屋根が1面しかない屋根)の上に、屋根の上部にはみ出す大きさのパネルを取りつけている家も見受けられます。この場合も同様にメンテナンス時に高所作業車や足場が必要になるだけでなく、屋根から飛び出した部分のパネルが強風にあおられてモジュールの飛散事故を起こす可能性もあり非常に危険です。
屋根一面がパネルとなっている家

屋根一面がパネルとなっている家

できるだけわが家の屋根に降り注ぐ太陽光を無駄にしたくない、最大限に発電量を増やしたい、という気持ち分からないではありませんが、これではメンテナンスが非常に困難になってしまいますし、メンテナンスコストも割高になってしまいます。

施工業者やO&M業者は、「モジュールの設置時には、後々のメンテナンスのことまで考えてパネルの設置方法を考える」「メンテナンス時にパネルの上に乗らない」、この2つに注意することによって、パネルの破損事故を減らすことができ、さらに効率的なO&M業務が行えるようになるはずです。
21 件

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

O&M japan編集部

関連する記事 こんな記事も人気です

O&M japan