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2017年3月3日 更新

注目!「事業計画策定ガイドライン」ほか各種ガイドラインの最新情報をチェック

先ごろ新たに『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』が公表されましたが、O&Mに関わるガイドラインの整備はまだ完全とは言えません。ガイドライン整備の現状と課題、今後の新ガイドライン公表予定をお知らせします。

O&M japan編集部
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注目!「事業計画策定ガイドライン」ほか各種ガイドラインの最新情報をチェック

新たな保守点検ガイドラインが公表されたが……

先ごろ、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)と一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)の共同作成による新たなガイドライン『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』が公表されました。

当ガイドラインは、太陽光発電システムのなかでも、特に電気関連システムの保守点検をメインにしており、IEC(国際電気標準会議)の基準・規格をもとに作成されています。表紙に「技術資料」という但し書きが明記されている通り、内容的にはかなり専門性の高い各種規格等の内容がメインになっており、どちらかというと専門知識を持っている技術者向けの資料と言えます。
したがって、当ガイドラインには、保守点検の「作業マニュアル」「点検マニュアル」のようなものはほとんど記載されておらず、現場の作業員にとって必ずしも分かりやすく実用的なものとは言えません。
もちろんこうしたガイドラインも必要なのでしょうが、加えて、もっと現場寄りの、実際の作業手順などを分かりやすく解説するガイドラインの整備が求められています。
整備が進むガイドライン

整備が進むガイドライン

特定の検査を対象とした『I-V特性測定方法ガイドライン』

では、上記のような現場寄りのガイドラインがまったくないかと言うと、そういうわけではありません。太陽光発電技術研究組合(PVTEC)によって『屋外環境化におけるI-V特性測定方法ガイドライン』(結晶シリコン太陽電池版)という資料が作成され、2016年12月15日に公表されています。
そもそも「I-V特性測定」(I-V 測定検査)とは何でしょうか?
これは「I-Vカーブ測定検査」とも言われるO&Mにおける重要な精密検査のうちのひとつで、モジュールの出力特性や発電量を計測し、モジュールが正常に機能しているかをチェックするものです。
I-V測定検査

I-V測定検査

屋外における I-V 特性の測定方法については、既に『JIS C 8953(結晶系太陽電池アレイ出力のオンサイト測定方法)』というガイドラインが公表されていますが、ここでは「アレイ面の日射強度が 700W/m2 以上」と規定されており、測定の機会が制限されていました。

しかし今回の新しいガイドラインでは、もっと低照度からの測定を許容すると共に、測定の簡便化や、測定方法の明確化を行い、従来のガイドラインに比べてより簡便で、かつ測定機会を大幅に増やしたガイドラインとなっています。

今、PVTECなどを中心に、当ガイドラインのように、特定の測定法別のガイドライン作りが進められています。できるだけ早期に、各精密点検のルールや使用機材に関する基準ができ、各点検分野における保守点検の精度・安全性が高まることが期待されます。

4月頃発表予定?「架台基礎構造」に関する新ガイドライン

冒頭で述べたように、JEMAとJPEAによる『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』は、主に電気関連の保守点検に関するガイドラインです。つまり、ここでは「架台基礎構造」等、構造面に関してはほとんど触れられていないのです。

しかし、今EPC(設計・施工事業者)、O&M事業者の現場では、電気関連のガイドライン以上に、この基礎構造、特に「架台基礎」に関するガイドライン整備の必要性が高まっています。架台の構造、特に強度(風圧荷重)の問題に起因する不具合やトラブル(風で架台が飛ばされてしまうなどの事故など)が急増しているからです。

こうしたトラブルが多発している原因は、JIS規格と照らし合わせてみても、架台など構造支持物の現在の基準が甘すぎる点にあることは明白です。経済産業省・エネルギー庁も、いまだ基礎構造に関するガイドラインが整備されていないことに対し以前から問題視しています。
架台の基準整備も重要になる

架台の基準整備も重要になる

JIS規格の改訂版作成

そこで、早急に架台基礎など構造部分に関する基準を強化した新しいガイドラインを制定しようと民間側で動きはじめています。
実際に、既に存在するJISによる『太陽電池アレイ用支持物設計標準(JIS C 8955)』という構造設計に関するガイドラインの見直しをすべく、JEMAなどを中心とした委員会によって当ガイドラインの改訂版作成が進められており、遅くとも今年の4月くらいまでには公表される予定です。

構造規格に関するガイドライン

一方、JEMA主導による上記ガイドライン作りと並行して、NEDOとJPEAが公募事業として進めている構造規格に関するガイドライン作りを、また、経済産業省の電力安全課を中心とした委員会も、構造規格に関するガイドライン作りを進めています。

どのガイドラインが、いつ、どのような内容で公表されるかは未定ですが、各団体、民間と行政がそれぞれ独自にガイドラインを作るのではなく、できれば構造に関する「統一ガイドライン」を、民間と行政が協力しあって作成することが必要なのではないでしょうか。

また、本来は構造設計と電気関連システムは密接に連動しているので、ガイドラインも構造系、電気系と分けて作成するのではなく、本来は両者を統合した内容のものを作成するのが理想です。
しかし、太陽光発電業界内の体制が複雑化していて足並みがそろっていないこともあり、電気関連分野と構造関連分野の間に、ある種の線引きのようなものがされてしまっているのです。ここに太陽光発電業界の根本的な問題があります。

経産省による「事業計画策定ガイドライン」にも注目

事業計画策定ガイドライン

ここまで述べてきたように、今、主に民間主導によるガイドラインの整備が進められていますが、行政側は行政側で、独自のガイドライン整備を進めています。
経済産業省は2017年1月13日に、今年4月からスタートする新認定制度を見据えて『事業計画策定ガイドライン』案を公表。パブリックコメントなどを反映させた上で、近々正式版が公表される予定です。

このガイドラインは、太陽光発電事業者、EPC事業者などが事業計画を策定するときに必要な「企画立案」「設計・施工」「運用・管理」「撤去及び処分」などに関して遵守すべきこと、推奨される事項について書かれたものです。太陽光発電設備認定の申請を行うにあたり、「この項目をきちんとクリアできていますか?」といったチェックシートのようなものと言っていいでしょう。
ガイドラインの整備が進む

ガイドラインの整備が進む

O&Mに直接関係してくる「運用・管理」の項目では、「保守点検・維持管理計画」の策定について書かれており、特に「50kW以上の発電設備の場合、電気事業法に基づき作成・提出した保安規程を踏まえた計画を策定すること」、と記載されています。

また、同計画の策定にあたっては、冒頭で紹介したJEMAとJPEAが作成した『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』などを参照することも明記されています。

これからのEPC、O&M事業者は、この『事業計画策定ガイドライン』に則って事業申請を行い、『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』や『I-V特性測定方法ガイドライン』など保守点検に関するガイドラインをきちんと読んだ上で事業推進を行い、さらに今後出てくるであろう『架台基礎構造に関するガイドライン』も理解・把握することが求められます。

今後、より現場にとって分かりやすく有効性、利便性の高いガイドラインの整備に期待するとともに、事業者自身も各種ガイドライン公表の動きに注視し、できるだけ各ガイドラインの内容をきちんと読んで理解しておくことが重要となってくるでしょう。
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