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2017年1月29日 更新

錆(金属腐食)が引き起こす故障と発電量の低下

金属部品に起こりがちな「錆」ですが、強度劣化や発電量低下、機器の故障などを引き起こします。この「錆」は雨風だけではなく、使用金属同士の相性も関係しています。それを念頭に置くことで、早めの防錆対策にも役立ちます。

O&M japan編集部
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錆(金属腐食)が引き起こす故障と発電量の低下

異なる金属の接触使用時に起こる「電蝕」

太陽光発電設備に発生する不具合のなかで、大きな問題になっているものの1つが金属部分の「錆」(さび)です。

金属に錆(金属腐食)が発生するのは、太陽光発電設備が常に雨風にさらされているからという理由だけではありません。異なる金属同士を接触して使用することで起こる「電蝕」(でんしょく)という現象があり、この電蝕が原因で錆が発生することも多いのです。
電蝕による錆

電蝕による錆

上の写真は、金具と太陽光モジュールのフレームの接合部分で発生した錆です。金具とフレームの材質の違いによる電蝕が原因とみられます。なお、この接合部分には施工時に「防錆加工」が施されていたのですが、「膜厚」(まくあつ:塗装の厚み)が薄く、それが錆につながった可能性もあります。

よくない金属の組み合わせ

電蝕は「異種金属接触腐食」とも呼ばれていて、異なる種類の金属材料が電気的に接触し、腐食環境中でイオン化により相互に影響し合って生じる腐食現象です。この現象は「電位差」が大きい材質同士を使う時に多く発生し、「イオンになりやすい方の金属」が腐食します。つまり使用する金属の材質に留意する必要があるのです。

たとえば「鉄とアルミニウム」の間には電位差がありますし、「銅と鉄」の間にはそれ以上の電位差があります。また「ステンレスとアルミ」の組み合わせもよくないとされています。他にも「高耐食溶融めっき鋼板とステンレス」も腐食の事例があります。これらの金属は太陽光発電設備の架台や取り付け金具に広く使われていますので注意が必要です。

錆による「強度劣化」と「屋根への広がり」

では、錆が原因となって引き起こされる太陽光発電設備の不具合とはどのようなものでしょうか。
 
1つ目は、「強度劣化への影響」です。
錆が原因で様々な部分にゆがみや緩みが生じることがありますので、放置しておくと設備の劣化につながります。
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2つ目に、「錆自体が広がる現象への懸念」があります。
濡れた金属台の上に飲料缶などを置いておくと、接触部の丸が錆のようにして残る現象を見たことはないでしょうか。これは「もらい錆」と言われる現象で、異なる金属が接していて、そこに水分が含まれたときに起こる腐食の一つです。放置することで腐食(錆)広がってしまう恐れがあります。

なお実際に、住宅の屋根に設置された太陽光モジュールの一部から錆が広がり、屋根自体の補修が必要になった事例もあります。このケースでは、モジュールを一度取り外して屋根補修や防錆対策を行うことになり、非常に大掛かりな補修となってしまいました。

ちなみに、太陽光モジュール施工における基本的なルールとして「銅板葺きの屋根にはモジュールを設置できない」というものがあります。銅版葺きの屋根に設置すると「電蝕」が発生する可能性が高いため、原則的にメーカーからの保証が受けられない場合が多いのです。

また、「もらい錆」以外にも、腐食が雨水などによって流れて水下に設置されているモジュールのガラス面を汚してしまったり、屋根上で何か金属を加工した際に鉄粉が飛び散り、掃除が不十分だったため、屋根材上で点々と広範囲で錆びてしまった事例もあります。

錆による「発電量低下」と「機器の故障」

3つ目に、「錆が発電量の低下を起こす」という問題があります。
上部の金属から錆が流れてモジュール表面を覆い、太陽光を遮ってしまうことで、十分な発電ができなくなってしまうのです。今はまだ実際の測定には至っておらず具体的な低下の数値は分かりませんが、多くの事例で発電量への影響が見られます。

4つ目に、「機器自体の故障を引き起こす」ということがあります。
PCS(パワーコンディショナー)や、ブレーカー等の端子台、筐体(きょうたい:電気機器などを収めた箱)の錆は、各種機器の故障につながります。特に筐体の錆は放っておくと雨漏りを起こし、その結果、絶縁不良や「アーク」と呼ばれる放電が発生する危険性もあります。

錆の防止・早期発見・対処法

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錆を発生させないためには、まず金属の電位差によって錆が起こることを認識し、設置前に材質選択などに十分留意して施工するのが第一です。もちろん電蝕を防ぐためには同種金属の使用が好ましいのですが、それは困難なので、防錆塗装や耐水テープなどを使ってできる限りの予防を行いましょう。
そして設置後は定期メンテナンスで、次の2点に注目して錆を早期に見つけていくことが大切です。

1.著しい変色がないか(錆は赤色だけでなく、白錆などもあるので注意が必要)
2.屋根や周囲に錆が流れた後がないかどうか

錆かどうかを確認するための専用の機器はなく、目視や触診でチェックするしかないのですが、もしどれか1つでも発見したら、錆落としや防錆剤の塗布によって対処を進めることが重要です。錆は急速に拡大する、ということも念頭において早期対処を進めましょう。
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