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2017年1月29日 更新

O&M事業者が知っておかないとマズイ「改正FIT法」のポイント

2016年5月に成立した「改正FIT法」。買い取り価格以外にも、太陽光発電事業者に影響が生じてきます。経済産業省で検討されているガイドラインや認定制度設定、また違反時の認定取り消しの可能性などが注目されます。

O&M japan編集部
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O&M事業者が知っておかないとマズイ「改正FIT法」のポイント

「改正FIT法」のチェックポイント

2016年5月の通常国会で「FIT」(固定価格買取制度)の見直しに関する法案(「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置上(通称:FIT法)等の一部を改正する法律」)が成立となりました。この「改正FIT法」は、一部を除いて、2017年4月1日に施行(法令化)される予定です。

今回FIT法を改正した目的は、「再生可能エネルギーの最大限の導入」と「国民負担の抑制」の両立を図り、「最適なエネルギーミックスを実現していくため」ということですが、この改正FIT法のなかで、O&M事業に携わる人が、特に注意しておくべきポイントがあります。

それは、「事業実施中の点検保守に対してきちんと取り組まないと、場合によっては、改善命令だけでなく認定の取り消しをされることもある」という条項が盛り込まれていることです。 
不具合が生じても放置されるものがある

不具合が生じても放置されるものがある

改正FIT法の「2つの改正と3つの総合施策」

以下は、実際に経済産業省の連絡会議で発表された内容ですが、2つの改正と3つの総合施策でFIT法の見直しを行っています。

<改正ポイント>
①コスト効率的な価格決定方式
②新認定制度の導入

<総合的な施策展開>
①自立化に向けた低コスト化 
②長期安定発電の体制構築
③ポストFITに向けた太陽光発電の導入
改正FIT法の施策

改正FIT法の施策

出典:経済産業省 資源エネルギー庁資料
国としては、今回、上記のようなFIT法の見直しを行うことによって、太陽光発電だけでなく再生可能エネルギー事業全体において、将来にわたってできるだけ長く運用していける体制構築をしていこうという方針です。

改正FIT法で強まる「点検・保守、事業終了後の設備撤去等の遵守」

この改正及び施策の中でO&Mに直接関係してくる部分は、②長期安定発電の体制構築の中で改定される「ガイドライン」です。それらの施策の中身を詳しく見てみると、次のような内容が書かれています。

●新制度では、事業開始前の審査に加え、事業実施中の点検・保守や、事業終了後の設備撤去等の遵守を求め、違反時の改善命令・認定取消を可能とする(第9条・第13条・第15条)

●景観や安全上のトラブルが発生している状況に鑑み、事業者の認定情報を公表する仕組みを設ける(第9条)

つまり、「事業実施中の点検保守に対してきちんと取り組まないと、場合によっては、改善命令だけでなく認定の取り消しをされることもありますよ」、ということです。

今回の改正FIT法は、主にこれから出てくる新しい事業計画に関して言及していますが、この「点検・保守」についての条項は既存事業(既存のモジュール)にも適用されることになっています。

したがって、査察によって今現在運転されている太陽光モジュールが、あまりにも適合基準とかけ離れていると判断された場合、運転停止や認定取り消し、モジュール撤去の命令が出る可能性があるのです。

ガイドライン検討の背景:直接、経産省に電話がくるトラブルが急増!

経産省が今回このように「点検・保守」に関して一歩踏み込んだ姿勢で法制化に踏み切った背景には、やはり太陽光発電にからむ事故など重大なトラブルが急増している、ということがあります。

たとえば、太陽光モジュールの重大な事故のなかに「架台の飛散事故」というものがあります。これは、台風などの強風でモジュールが飛んでいってしまうだけでなく、モジュールを支えている「架台」も飛ばされてしまい、近隣住民の家屋や車などに被害を与えるという事故ですが、最近こうした事故が多発しています。

電気系統から発火するなどの「焼損事故」であれば、太陽光発電事業者自身の対応で済みますが、こうした近隣住民も巻き込んで重大な被害を与える事故の場合、被害を被った地域住民から直接、経産省にクレームが入ってくるのです。

こうしたクレームを受けたら、経産省は調査官や査察官を現地に派遣して調査・指導しないといけないのですが、最近、対応件数が急増していて、経産省としても「この問題を早急に解決しないとまずい」ということになっているのです。
近隣住民からの苦情が増えている

近隣住民からの苦情が増えている

国と民間が協力してガイドライン作りを

経産省がこうしたトラブルに対応しようと、太陽光モジュールの保守点検に関する調査や指導を行う場合、困ったことがあります。それは、保守点検、メンテナンスに関する明確な基準、ガイドラインが存在しない、ということです。何をどうやって、どんな基準で調査し、指導したらよいのかが分からないのです。
そこで今、今回の改正FIT法の施行と同時に、経産省内でも太陽光モジュールの保守点検、メンテナンスに関する明確な基準作りをしないといけない、という機運が高まっているのです。
ガイドライン整備が進む

ガイドライン整備が進む

出典:経済産業省 資源エネルギー庁資料
しかし、こうした基準作り、ガイドライン作りは行政だけの力では実現できません。やはり民間企業や民間団体と一体になって意見交換をしながら考えていかなければならないのです。
そこで今、経産省と民間企業・団体との協力によって「太陽光発電の運用や保守点検、すなわちO&Mに関する新たなガイドライン作りをしていこう」という流れになっているというわけです。
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