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2018年5月30日 更新

「点検事業の現状」

2016年12月28日に公表された『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』。 その後、PV業界での点検事業はどう変化したのか…。

O&M japan編集部
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「点検事業の現状」

成立しないO&Mの「M」

『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』が公表されてからの市場の反応は「内容が難しく理解できない」「結局、どうすれば良いのか分からない」「具体的な点検作業マニュアルが欲しい」など、PV事業関係者にはあまりうまく浸透していない。
多くのO&M会社がビジネス展開をするなかで、オペレーション事業は遠隔監視の代行業務として比較的安定をみせるも、対するメンテナンス事業は正しい安全性確保より、
特殊機材を用いたパフォーマンス重視の作業や価格ありきのパッケージが前面に出てきている。計測作業のなかでも太陽光発電設備における絶縁抵抗測定の技術論はいまだ曖昧で電気事業法を重視した検査などは軽視される傾向にある。それでも安全性確保の意識のなかで特殊機材でのオリジナルな検査や測定を実施している事業者はまだ良いのかと感じ取れる。ただ大半の事業者が巡回や目視点検のみを実施し、発電所の安全確保ができていると大きな勘違いをしている。(もちろん目視検査も重要であるが)
これには二つの問題があり、ひとつは売電収支優先のメンテナンスコストである。発電所の仕様はそれぞれ違うため保守管理コストは一定化しないのが本音である。もし一定化したいのであれば設計段階で発電所の仕様もコストバランスに合わせる必要性がある。しかし現状は収支シミュレーションが優先となり、設計もある程度の基準とし、実際の点検作業は後合わせになっている。結果、実現場では収支ありきの巡回や目視作業が横行し管理したつもりとなっている。発電事業者も心の中ではこの矛盾に気づきながらも現場での事故や不備に対して「何も起きるな!」と日々、祈りながら発電所を管理してるのが日常である。こうなると不慮の事故に遭うかどうかは宝くじ状態で、そこに真の安全性や未然的な対策は存在しない。
もうひとつはO&M会社側の過剰サービスにある。太陽光発電所の現状におけるO&M事業は「遠隔監視業務」「緊急駆け付け業務」「点検業務」の三部構成となっており、多くはマンパワーの作業コストが発生する。大半が人ありきの作業なだけに低コスト化が難しい状況にある。中でも点検作業内にある「I-V測定」「赤外線調査」「電路探査」「ドローン」などはある程度の市民権を得てはいるが、更なる高コスト化となっているのが本音かも知れない。しかもこれらの検査は電気事業法に準拠していない独自検査であり、正しいのかどうかと聞かれると何とも回答は難しい。未然確認としてはかなり重要だが、まだ完璧な状態でなない。ただ業界として継続して行く必要性はあると考えられる。
そもそも作業だけが横行し、本当に事業関係者が技術的に理解しているのかも疑問である。しかし市場ではパッケージ化され過剰に拡販させており、新たな特殊検査方法や機器は後を絶たない。安全性確保とうたえば正しくなるのだが、根本的には太陽光発電事業が未成熟で発展途上と言わざるえない。これは防草対策・洗浄対策・補償事業も同じである。
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メンテナンスの正しい低コスト化

「特殊な計測点検は毎回必要?」とよく聞かれる。たしかに前文に書かれた特殊検査の作業を毎年行っていくと収支的には非常に厳しくなる。ではどうすべきか?
現実的な方法としては、竣工検査時に密な調査を行い設備の正常な状態を確認する。それから正常な状態で運用を開始し、その後は遠隔監視と並行して簡略化した定期検査を行っていく。その際、竣工時に気になる点を理解し、定期検査ではそこに重点を置く必要がある。決して定期点検で計測作業を行わない訳ではないが、必要性を認識し選択する必要があるとだけ言っておこう。ちなみにシステム設計(全体)・電気設計/特性・構造設計/特性・製品状態・環境対策などはきちんと切り分けて考える必要がある。これらを有耶無耶にすると問題も発生しやすく、また発生しても原因特定が難しくなる。
O&M会社には発電所毎にマッチングした内容を構築してもらい、根拠のないパッケージプランは是正いただきたいものである。ビジネス的には難しいところもあるかも知れないが、そもそもなんのために点検を行っているのか?なにが必要なのか?を理解し、正しい業界構築を目指して欲しい。
あとは、発電事業者・O&M会社・EPC会社・研究者・行政共に「法令/ガイドラインの理解」「現場での問題」を今以上に理解し、その上で絶対的に必要な管理体制の構築を目指して欲しい。これらを認識して安全な発電事業を継続する必要があり、正しい認識が無い中でのビジネスモデルは今後も新たな事故を引き起こす事となるし、それこそが業界の低迷化にも繋がって行く可能性があると言える。
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